【映画の感想】『ミッシング・ポイント』原題 [ The Reluctant Fundamentalist ](2013年、アメリカ)

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この映画を鑑賞した動機は何を隠そう、我らがジャック・バウアーことキーファ・サザーランドが出演していたからだ。

鑑賞前に「社会派サスペンス」だということは認識していたけれども、キーファが出てるんだから、ちょっとばかり大人っぽく落ち着いた「24 -TWENTY FOUR-」なんだろうなと予想、次から次へと雑魚を倒しつつ黒幕へと迫り、最後に意外な黒幕を全力ぶっ倒す映画なんだろうと思って鑑賞したら、180度違う映画であった。

オススメ度:★★★★★★★★★☆ ★9点

*★10点が満点。点数は管理人の個人的点数です。異論反論は認めます。
*記事内の見出しに”(以下、ネタバレ)”と書かれているところからネタバレしています。

 

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どんな話?

ある夜、パキスタンでアメリカ人の大学教授、レニア教授が何者かにより拉致されてしまう。

この拉致事件の容疑者である主人公のチャンゲス(リズ・アーメッド)にCIAの工作員ボビー(リーヴ・シュレイバー)が接触、現地ジャーナリストを装いインタビューを申し込む。

チャンゲスは「これから話すことの全てを記事にしてくれ」と話し始めるが、ボビーの正体がチャンゲスにバレたことを知ったCIAはボビーを救うべく2人のいる場所へと突入してこようとする。

アメリカ人教授の拉致により無関係なパキスタン人が次々と逮捕されて、パキスタン人と警察の暴動が一触即発となる中で、チャンゲスは今まで生きてきた半生をボビーに話す。

 

と、ここまで書いてきて僕の文章が下手なばかりに退屈そうな内容に思えるかもしれないが、この映画はかなり奥が深く、面白い。「24 -TWENTY FOUR-」のようなジェットコースター的なスピード感、アクション、ハラハラ感はなく地味なのだけれど、テーマが重く、そして興味深い。観終わった後、この映画の提示する問題について深く考えさせられる内容の映画だ。

主人公のパキスタン人チャンゲスはこのレニア教授の拉致事件に関わっているのか?関わっていないのか?黒なのか白なのか?最後の最後まで目が離せない。

 

感想(以降、ネタバレ)

チャンゲスはアメリカ側なのかパキスタン側なのか?レニア教授の拉致に関わっているのか?いないのか?

CIA職員のボビーのインタビューでこれまでのチャンゲスの人生を追っていくことになるのだが、最後の最後までどちらかがわからない。

 

パキスタン人のチャンゲスは18歳でアメリカに渡り、一流コンサルタント会社への就職を果たす。頭がキレるチャンゲスは上司(キーファ・サザーランド)に気に入られ、出世街道をひた走りこのまま頑張れば社長にまで上り詰めるのではないかとというところで事件が起こる。

2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロだ。

このアメリカ同時多発テロを機にチャンゲスのアメリカンドリーム・サクセスストーリーが音を立てて崩れていく。

パキスタン人だというだけで、空港では警備員に捕まり全裸で身体検査を受けさせられ、ヒゲを生やしていただけで警察につかまりFBI捜査官から無慈悲な取り調べを受ける。

アメリカ同時多発テロにより3000人以上の命が犠牲になり、遺族は深い悲しみと憤りに苦しんだ。だが、その苦しみを味わったアメリカ人が無関係なイスラム系の人々を苦しめた現実をどれだけの人が知っているのだろう?

次々に降りかかるパキスタン人という立場であるがための差別や迫害によって、チャンゲスの心に憤りの感情が見栄え始める。

そして、唯一の心の拠り所だった恋人のエリカ(ケイト・ハドソン)によってトドメを刺される。

クリエイターの彼女は個展でチャンゲスとの恋愛を作品として展示したのだが、その作品で「私の彼はパキスタン人なの」的なアピールをして、パキスタン人であることを気にしているチャンゲスの逆鱗に触れてしまう。

テロ後でパキスタン人に対して負のイメージが蔓延しているこの時期にとんでもない作品を作ってしまったエリカ。どんだけ世間知らずなんだよ!と思ってしまったけど、ホント芸術ってのはよくわからない。

務めていた一流コンサルタント会社は、利益しか追わない会社の体質に疑問を抱き退職、パキスタンに帰ってしまう。

 

ここまでのチャンゲスの半生を観てきて、チャンゲスの心はアメリカとパキスタンのいったいどっちにあるんだろう?

もしかしたら、散々差別は偏見を受けたアメリカのことを憎むようになってしまったのではないだろうか?

どんどんチャンゲスが怪しく見えてきてしまう。レニア教授の拉致に関与しているのではないだろうか?と。

ここまでの話の持って行き方が本当に上手い。グイグイと話しに引き込まれてしまった。

そして最後のあのどんでん返しには、ホッとした。素直に嬉しかった。

 

この映画の面白いところは、パキスタン人の目から見たアメリカの伺えるところだ。多くの人は、イスラム系の人間がアメリカを憎んでいると思っているんじゃないだろうか?

チャンゲスのようにアメリカを好きなパキスタン人だっているんだってことはもっと認知されなければいけない。

正直言って僕は、人というのは今までの生き方、性格、環境が外見にそのまま出る、すなわち「人は見かけによる(90%くらい)」と思っている。

今までの経験から判断して、きっとこの人はこんな人なんだろうなとある程度カテゴリー付けをしておいた方が接する時に気持ちが楽だ。

だけど、それで決めつけてしまうことは非常に危険だとこの映画を観て思った。

 

チャンゲスは、パキスタン人に対する偏見をなくしたい、もっとパキスタン人のことを理解して欲しい、そういう気持ちでボビーのインタビューに応じたんだろうなあ。

ラストのボビーによって殺されてしまった友人の埋葬のシーンで、家族からのメッセージを伝えるチャンゲスの姿に希望を与えられた。そして感動した。

ちょっとマイナーかもしれないけど、今年観た映画の中でかなり面白い映画でした。

 

あ、キーファ・サザーランドの感想を書こうと思ってたのに、キーファに触れることもできなかったわ。だって銃握らない役だったし。たぶんキーファがチャンゲスやってたら、ボビーの銃を奪ってCIAを壊滅してそう・・・。

 

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