韓国映画『殺人の告白』の日本版リメイクである『22年目の告白 -私が殺人犯です-』を鑑賞。
原作あり、元ネタありの映画化でコケまくっているのに、こんなハードルの高い映画をよくリメイクする気になったな、勇者だなと思ってたのだが・・・
【映画の感想】『殺人の告白』原題 [ 내가 살인범이다 ](2013年、韓国)
ごめんなさい・・・
すごく面白かったです
韓国オリジナルの『殺人の告白』の大筋のストーリーの面白さに加えて、出来るだけリアリティーを出そうという制作側の心意気が感じられた。
書きたい事はいっぱいあるが、まだ観てない方のために後述する。観ようか迷っている方には「今年観た方がの中ではダントツに面白かった邦画だ」と言いたい。(昨年2017年公開の映画だが)
それにしても藤原竜也すごいな・・・。
藤原竜也出てる映画で
ハズレ映画ないんじゃね?
って思っちゃうくらい、彼が出演する映画はハズレない。(観客動員数とか興行収入とかではなく、映画自体が面白いかどうかっていう意味で)
オススメ度:★★★★★★★★★☆ ★9点
*★10点が満点。点数は管理人の個人的点数です。異論反論は認めます。
*記事内の見出しに”(以下、ネタバレ)”と書かれているところからネタバレしています。
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どんな話なの?
1995年、阪神淡路大震災のあった年。5件の連続絞殺事件が発生する。
刑事の牧村(伊藤英明)はあと一歩のところまで犯人を追い詰め、右肩に銃弾を浴びせるも、ナイフで口元を切り付けられ逃げられてしまう。
それから15年、2010年に捜査の甲斐なく連続絞殺事件は時効を迎えてしまう。
この事件で牧村は上司を殺されてしまい、心に深い傷と犯人への深い憎しみを抱えることになる。
そしてそれから7年後の2017年、時効を迎えた犯人曾根崎雅人(藤原竜也)が連続絞殺事件の内容を手記にした本を出版、マスコミの記者会見に突如姿を現す。
「初めまして、私が殺人犯です」
記者会見で「無能で愚鈍な警察」と挑発する曾根崎をテレビ越しに見つめる牧村。そして、再び悲しみと憎しみのどん底に落とされる被害者の遺族たち。そして曾根崎を持てはやすバカな人々たち。
時効という壁に対して牧村はどう戦っていくのか。そして時効を迎えたにも関わらず、わざわざメディアの前に姿を現し警察、被害者を挑発する事件の犯人、曾根崎の狙いはなんのか?
オリジナルの韓国版とはまた違う日本流の味付けがされている『22年目の告白 -私が殺人犯です-』。もしもこの映画を観ようか迷っているのであれば、即座にこのページを閉じて鑑賞することをオススメします。
ここから先、韓国版、日本版の両方のネタバレを含みながら、うんこを垂れ流すかのごとく感想を書いていきます。
感想(以下、ネタバレ)
韓国版ではかなり突飛で粗削りなストーリーをアクションと笑いでねじ伏せてたのだが、こちらの方は、最初から最後までシリアス。
時効廃止、阪神淡路大震災などの現在の日本の情勢を絡めつつ、真犯人がなぜ5件の連続殺人を犯すことになったかの犯行動機まで切り込んでいるところが新しかった。
この映画の一番の見どころは、言わずもがな刑事の槇村、犯人と自称する曾根崎、そして真犯人を自称する覆面男の3人がニュース番組に出演してテーブルに付くシーンだろう。
そこでのネタ晴らし、どんでん返しに驚愕させられる。
さすがに韓国オリジナル版を観てるので、その時の衝撃と感動はなかったけど、もしも韓国オリジナル版を観ずにこっちを先に観ていたとしたら間違いなく衝撃を受けてた。
これまで刑事と犯人、対立しあう牧村と曾根崎が実は協力者であり、これまでのメディアと世間を巻き込んだ曾根崎の手記出版騒動は大掛かりな演出は、真犯人を捕まえるための作戦だったというこのオチ。
ぶっちゃけ、伊藤英明と藤原竜也の演技が凄まじく、もしかしたら本当に曾根崎が真犯人の可能性も・・・と考えていたのだけど、さすがにこの映画の一番のミソである部分はオリジナルに従ったようだ。そりゃそうだ。
そういえば牧村の妹の婚約者が自殺するシーン、韓国版では冒頭に持って来ていたけど、こちらでは話の中盤に出てくる。冒頭から中盤にかけては5件の絞殺事件を全面に押し出し、隠された牧村の妹の失踪についてを中盤に持って来ていて、怒涛のネタ晴らしへと繋げている。韓国版を観た人のことを考えてなのかはわからないが、脚本が上手いなあと思った。
そして、韓国オリジナル版との大きな違いはニュース番組でのネタ晴らしの後だ。ニュース番組の出演にのこのことやってきた真犯人を名乗る男は、実はネットで真犯人から依頼されて出演しただけの男だということが判明。22年前に牧村に右肩を撃たれた傷跡がなかったことが決定打になる。
ここまでの大掛かりな仕掛けを打って出たにも関わらず、なんと作戦失敗。真犯人を捕まえることが出来ず。
正直僕はこのことの方に衝撃を受けた。
尺を半分以上使って
ふりだしに戻っちまったぞ!
だが、しかし。
最終的にはニュース番組のメインキャスターである仙堂(仲村トオル)が真犯人だったというオチ。ちょっと話が出来過ぎている部分もあるのだが、なぜこの仙堂が5件の絞殺殺人を犯してしまったのかを、戦場カメラマン時代のエピソードで納得は出来る。
戦場で仲間を目の前で殺されたトラウマから、自分と同じトラウマの人間を作り、その人間を徹底的に取材することで、仙堂は自分のトラウマを治したかったのだろう。
この日本リメイクでは、こういった真犯人の殺人の動機にまで踏み込んでいる部分、そして最終的に真犯人を殺すのではなく、逮捕するというところ。ここが日本版らしい。
たしか韓国版の感想を書いた時には、真犯人を刑事が殺害して出所してきたところを遺族たちが労うところ。ここが復讐のために殺人を肯定しているようで不満だと書いた。
日本版リメイクではそれがない。
ああ、『22年目の告白 -私が殺人犯です-』めっちゃ面白かったわあってエンドロールが流れ始めた直後。暴力団の下っ端、5件の絞殺事件の被害者の実の息子が刑務所内で包丁を握りしめ、仲村トオルに突進・・・
結局犯人殺されるのかよ!!