【映画の感想】『ナイトクローラー』(2014年、アメリカ)

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ぱっと見、パパラッチを題材にした映画で、過激な報道を批判する内容の映画なんだろうなと、マスコミバッシングの映画なんだろうなと思って借りた『ナイトクローラー』だったのだけど、思っていた内容と全然違う映画だった。

モラルも倫理感もまったく持ち合わせていない男が主人公で、観ていて嫌悪感すら覚えるのだけど、パパラッチ業界をホップステップジャンプでのし上がっていく、この抜け目のない男の行動力にグイグイと引き込まれてしまった。ただ、たしかに映画として面白かったけれども、共感できるかと言われれば答えに困る映画だ。

オススメ度:★★★★★★★★☆☆ ★8点

*★10点が満点。点数は管理人の個人的点数です。異論反論は認めます。
*記事内の見出しに”(以下、ネタバレ)”と書かれているところからネタバレしています。

 

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主人公がクソすぎる

映画の序盤から、主人公に対する嫌悪感を強烈に感じる。

主人公ルイスは、大した才能も学歴もなく、平気で盗みを働く、警察官を殴る、根拠のない自信だけはある、
どこからどう見てもモラルも倫理感も欠如した社会の底辺を生きる男。
ある夜、交通事故の現場でカメラを回すパパラッチを見て自分にも出来るかもと、コソ泥からパパラッチへと転身することになる。

 

ある意味、ホラー映画

モラルや倫理感に欠けた行動というのは、行き過ぎるとホラーだということ。

血を流して今にも死にそうな人間を助けようとすることもなく延々とカメラを回し続ける光景は、傍から見ると明らかに異様な光景だと言わざるを得ない。お前、それでも人間かよと。

そういった光景は僕たちの日常にもある。電車の人身事故があると、必ずと言っていいほどケータイ片手に写メを撮ってる人間がいる。SNSの普及したこのご時世であったとしても、お前共有するもの間違えてるだろと。ああいうのを見ると反吐が出る。人としての品性を疑ってしまう下衆な行為だ。

そんな下衆な行為をスケールアップさせて主人公がスクープ映像を撮っていく様は精神的にくるホラーだと感じる。

とにかくこの男、なにをしでかすかわからない、殺人すらいとわないぞというそんな狂気の目をしている。

 

ある意味、出世映画

そんなモラルも倫理も思いやりもない狂人者ルイスが、パパラッチの世界でのし上がっていく。

ある意味、出世映画だ。

今の格差社会で、持たざるものがどうやって社会でのし上がっていけばいいのか、たくさんのヒントを提示してくれる。
もしかしたらニートがこの映画を観たら、なにかしら人生を変えれるんではないかとすら思える。

しかし、忘れてはいけないのが「なにかを得るためにはなにかを捨てなければいけない」ということ。

この映画はそう言っているように見えた。

 

 

以降、ネタバレ感想

まあ、とにかくこの映画、あまりにも非人道的な描写のオンパレードで、見たくないものを見せてくれる映画だ。

ルイスの度を越したスクープ映像の撮影は本当にひどい。交通事故に遭った人間をカメラのフレームに収めるために引きずって移動させたり、平気で不法侵入してカメラを回したり。殺人現場に警察よりも早く行って殺害された人間をカメラに収めるだけ収めて、犯人逮捕に協力しないどころか、さらに犯人に殺しをさせようとしたり。

中でも酷いのがスクープ映像のおまけ映像のために今までさんざんこき使って働かせてきた部下を犯人に殺させたり。

あまりにも非人道的過ぎて、本当に胸糞悪くなる。

そして、主人公ルイスを次いで、酷いのがテレビ局の女性ディレクターのニナ。この女もモラルの欠片も持ち合わせていない。喋るセリフはもっともらしいことをいつも言っているけど、その裏にはカネ、カネ、カネ、そして自分の出世欲、なんとしてもテレビ局のディレクターとしてその地位を守るためには、他人の不幸なんてなんのその。視聴率欲しさに平気でルイスに魂を売る。

世の中金だよ、綺麗事なんか言ってられないよを象徴とするキャラクターだ。

そして、怖いことにこの怪物ルイスを作り上げている張本人は、テレビ局のニナだけではなく、過激な映像を求める視聴者たちだということ。

才能がないとか言っていたルイスだけど、今まで自分の適性を理解しておらず見つけられなかっただけだった。
よく自分のことを「才能がない」で片づけている人がいるけど、その言葉を吐く人のほとんどは自分の適正を理解しておらず、諦めて行動を起こさない人だと思う。ルイスがそれを証明してくれている。

まあ、映画の中の話ではあるが・・・。

 

なにかを得ればなにかを失う

本気で出世したい、社会の表舞台に出たいと思うなら、自己啓発の本なんか読むよりナイトクローラーを観た方が何倍も近道出来る。

ただ、それは失うものが大きい。

でもなんであれ、なにかを得るためには何かを失わないといけない。

部活に励めば、推薦入学出来たり先生に信頼されるけど、遊ぶ時間は失う。
ゲームを思う存分楽しんだら快感を得るけど、視力を失う。
結婚したら家族が出来るけど、自分の自由な時間は失う。
仕事を頑張れば回りから評価されるけど、ストレスで髪を失う。
下ネタで一時の笑いを得るが、女性からの信頼を失う。

なんか、おかしいのが少し混ざってる気もするけど、まあいいや。

ただ、僕がはっきりと思うのは、ここまで人間性を失ってまで出世するルイスにはちょっと共感が出来ない。
妬みでも僻みでもなく、純粋にそう思う。
ルイスはここまで上り詰めていって幸せなのかもしれないけど、自分が同じ立場であれば幸せには感じない。

綺麗事を言うつもりはないんだけど、この映画を観て僕はこう思ってしまうのである。

 

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