顔見知りの人から贈り物を貰うのは、多少気を使うことはあれど、本心を言えばやはり嬉しいもの。今回はそんな贈り物にまつわる映画を観てみた。
嬉しい贈り物のはずが実は恐怖の贈り物だったという、なんとも怖い話。
スリラー映画ではあるものの、Jホラー的な演出もあり、一人で観ていた僕は2、3回くらい体をのけぞってしまった・・・。
オススメ度:★★★★★★★★★☆ ★9点
*★10点が満点。点数は管理人の個人的点数です。異論反論は認めます。
*記事内の見出しに”(以下、ネタバレ)”と書かれているところからネタバレしています。
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どんな話なの?
転職を機にカリフォルニア州へと引っ越してきたサイモン(ジェイソン・ベイトマン)とその妻のロビン(レベッカ・ホール)。
新居の家具を買いに近く家具屋へと出かけたサイモンは高校の同級生だったゴードン(ジョエル・エドガートン)に声をかけられる。再会を喜びロビンをゴードンに紹介する。
ある日、シャワーを浴びてた時に物音に気付いたロビンが外へ出てみると、家の前に綺麗に包装されたワインが置かれていた。ワインにはメッセージカードが添えられていてゴードンからのプレゼントだとわかる。
家具屋で会った時には住所を教えていなかったのだが、なぜゴードンが住所を知っているのかとサイモン夫妻は疑問に思う。
それ以降、ロビンが独りで居る時に度々ゴードンが訪ねてきて、贈り物をくれるようになり、ロビンは親切で紳士的なゴードンを快く思うのだが、サイモンはそんなゴードンを煩わしく思うようになる。
果たしてゴードンの目的は?そして、サイモンはなぜゴードンを毛嫌いするのか?
この映画、不気味で何を考えているのかわからないゴードンを演じているジョエル・エドガートンが監督・脚本を務めている。この『ザ・ギフト』が俳優ジョエル・エドガートンの長編映画の監督としてのデビュー作。非常に面白い映画だったので、今後のジョエル・エドガートン監督の作品にも期待したい。
人間には誰しも大小はあれど知られたくない過去の1つ、2つや、知られたくない裏の顔があったりする。
劇中でサイモン、ロビン、ゴードンの3人で夕食を共にするシーンで言い放つゴードンのセリフはこの映画の本質を突く大切な場面だったんだと最後まで観た後に気づかされた。
この映画は怖い
だけど、気持ちイイ
少しばかり、ホラーっぽい演出があり、ホラーが苦手な人だとビクッとしてしまうシーンもあるけど、流血したりグロテスクな内容の怖さではなく、精神的に来る人間の恐ろしさ的な怖さがある。
結局、この世で1番怖いモノは幽霊でもゾンビでもない。
人間ですよ
感想(以下、ネタバレ)
いや~、ここ最近結構映画を観ていたけど、今月5月観た映画の中で トップクラスで面白い映画 だった!!
何度も何度も贈り物を送り付け、そして愛犬の失踪や池の魚の怪死などゴードンが不気味で悪役のような演出からの後半のどんでん返し。
美しい妻とガラス張りの立派な新居、そして仕事への野心から、サイモンはエリートで立派な人間なのだと思わせておいての後半のどんでん返し。
お前が悪いヤツだったのか!!
そして、そこからのゴードンの怒涛の復讐劇。最初から最後まで画面い釘付けで観れる面白さだった。
それにしても、何をしようとしているのか、何を考えているのかがわからない人間というのは本当に恐ろしい。人間が恐怖を感じる本質は "知らないこと、未知のこと、予測できないこと" だと言われている。
お化けや幽霊がなぜ怖いのか?人の命を奪うからではない。どんな方法で命を奪いに来るのかが予測できないからだ。どんな惨い殺し方をしてくるのかがわからないから。
ホラーの苦手の僕だって、1度観たホラー映画はへっちゃらですよ。なぜかって、それはなにをしてくるかわかってるから。それさえわかれば、そのシーンをどう凌げばいいか対策がとれるからね。細目にするとか、音量を少し下げておくとか・・・。
序盤のゴードンは別に幽霊でもなんでもないのにかなり怖い。なぜ、ここまでゴードンが怖いのかというとそれは何が目的で動いているのかがわからないから。標的がサイモンなのかロビンなのか、はたまたその両方なのかもわからない。
普通人間は贈り物を贈るからには、声に出さずとも見返りを期待する。あれだけ何度も贈り物を贈ってくるゴードンにはなにか下心があるはずだと普通の人なら感じるはずだ。しかしその下心がまるで見えてこない。
そうしたゴードンの行動動機が最後の最後までわからないところにゴードンの怖さがある。まあ、それがわかってからのゴードンも恐ろしいっちゃあ恐ろしいんだけどね・・・。
おかげで緊張感が途切れることなく、サイモンの裏の顔がわかる後半まで引っ張られる。
てかね、サイモン糞野郎っぷりには、サイモンが転職した会社の上司と同様、僕もどん引きですわ。嘘を嘘で上塗りしてロビンの堪忍袋が切れるまで嘘を突き続ける。
ゴードンの仕事場まで謝罪しに行くシーンのサイモンの醜さといったらありゃしない。なんだありゃ、あの上から目線の謝罪は?ってか「謝罪を受け入れろ!」って、もはや謝罪でもなんでもないwww
謝罪に行って命令かよ!
そのプライド捨てろよ!
そしてまともに謝罪も出来ていないクセにその日の夜にロビンに謝罪したとまた嘘を付く。ロビンに言われてた通り、結局サイモンの性格、本質は大人になってもまったく変わっていなかったわけでいじめっ子のまま。
ゴードンと3人での夕食会の後に「ゴードンは月日がたってもまったく変わってない」ってサイモンがロビンに向かって言うシーンがあったが、
それお前じゃね?
って思っちゃいました。
これまでの人生で「ごめんなさい、嘘でした」と言えばやり直せるチャンスが何度もあったにも拘わらず、それが出来なかったサイモンは妻も仕事もすべて失うんだろうなと思わせるラストだった。嘘つきの末路は悲惨ですな。
ラストの贈り物について
恐らくこの映画のタイトルともなっている『ザ・ギフト』とは、ロビンの出産する赤ちゃんのことなんだと思われる。
その赤ちゃんの子がゴードンの子ではないかとサイモンに疑わせ不安にさせることが、ゴードンにとっての仕返しであり、復讐なんだろうと思われる。
高校生の時、サイモンに男と車の中にいたと言われ、ゲイだという嘘を回りに言いふらされて、ゴードンはその後の人生を狂わされた。サイモンがその嘘を嘘と言えば、ゴードンに対するいじめは止められたかもしれないのに。
そして、そのシチュエーションに乗っ取り、ゴードンがロビンの子はゴードンの子だという状況を作り出した。ゴードンが「それは嘘だ」と言えばサイモンが救われるその状況を。
3人で夕食した時にゴードンが言っていた「目には目を」を実際にやってのける。
この綺麗な仕返しが非常に 気持ち良かった
これまでのゴードンの言動や現実的なラインで考えると恐らくロビンの子供はサイモンとの子供だろう。そう簡単に1発で精子と卵子が受精できないわけですから。
また、DNA鑑定をしたらすぐにサイモンかゴードン、どちらの子かはわかるので長期的にサイモンを苦しめるような仕返しにはならないだろう。
ただ、それでも最後のこのインパクトのある贈り物にはサイモンも受けたダメージはデカイはず。それに、これからのロビンとの夫婦関係を考えると失ったものは大きい。
子供と同じくらいに大切な妻から失った信頼の回復は今後の人生をかけて全力で取り戻さなければならないので、僕は子供よりもロビンへの信頼回復の方がダメージは大きいように思う。まあ、離婚するかもしれないけど・・・。
さてさて、この恐ろしくも気持ち良い復讐スリラー『ザ・ギフト』、
世界各国、日本全国の いじめっ子 には是非この映画を 観て欲しい
と思ってみたけど、サイモンとゴードンどちらの子か?っていう最後に送られてくるDVDのシーンを考えると性教育がある程度されている中学生以上が対象なってしまうかな・・・。
『人にしたことは、その後の長い人生においていずれ自分に返ってくる』ということを、この映画を通して学んでほしい。