【映画の感想】『パイロマニアック 炎の中の獣』 [原題:Pyromanen] (2016年、ノルウェー)

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この映画のパッケージをTSUTAYAで手にして、目に飛び込んできた文言が「北欧サスペンス」「北欧ミステリー」。

北欧サスペンスと言われて真っ先に思い浮かぶのが、海外ドラマ『THE BRIDGE/ブリッジ』。北欧サスペンスを初めて観た僕は、この『THE BRIDGE/ブリッジ』にのめり込んで一気に最終話まで観てしまい、おまけにSeason2も全話観た。

それほどまでに面白かった『THE BRIDGE/ブリッジ』。これを機に "北欧サスペンス = 面白い" と頭に刷り込まれた僕は、この『パイロマニアック 炎の中の獣』を反射的にレンタルしてしまった。

 

1978年、ノルウェーの小さな村で起きた実話で、パイロマニアックとは英語で "放火魔" 。原題は『Pyromanen』(スウェーデン語で "放火" という意味)。映画のタイトルから放火事件の話なのだと分かる。

放火犯と警察との激しい攻防が描かれる傑作サスペンスなのだろうとアダルトDVDと一緒に借りて帰宅、鑑賞したのだが・・・。

 

オススメ度:★★★★★☆☆☆☆☆ ★5点

*★10点が満点。点数は管理人の個人的点数です。異論反論は認めます。
*記事内の見出しに”(以下、ネタバレ)”と書かれているところからネタバレしています。

 

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どんな話なの?

1978年、舞台はノルウェーの小さな村。兵役を終えて実家に戻った19歳の主人公ダグは、父親が消防団長を務める消防団の手伝いをしている。

ある日、町の近くの雑木林で火事が発生し、ダグと父親、そして消防団の面々が消火活動を行い火を消し止める。消火後にこの火事が放火であることが判明。この日を境に村で次から次へと村の回りで放火事件が発生し、ダグと消防団は頻繁に消火活動に駆り出されるようになる。

懸命に消火活動を行うダグは村の人たちから一目置かれているようなのだが、どうもダグの様子はおかしい。また、連続する放火事件の操作に村の所轄警察が動き出す。

 

この映画の見どころは、のどかな村の風景をバックに木造の家が激しく、そして赤々と燃え上がる映像が観られるところ。

『THE BRIDGE/ブリッジ』でもそうだったけど、北欧サスペンスには独特のリズムとテンポがあるようで、最初から最後まで緩やかに物語が進む。悪く言えば冗長な感じ。決してテンポが悪いとは思わない。この冗長さがある意味、魅力なのかもしれない。

 

感想(以下、ネタバレ)

冒頭で☆で点数を付けているので、だいたいあまり良くないことを書こうとしていることを察している人は多いと思う。

 

はい、その通り。

 

北欧サスペンスということで、多大なる期待を寄せて鑑賞したのだけど、期待以下でした。

なぜ、そう感じたか?

それは・・・

 

・・・

・・・

・・・

 

全然サスペンスじゃない!

 

映画の冒頭でのカメラ長回しによる老人宅が燃え上がるシーンはすごく引き付けられたけど、ソッコー主人公のダグが放火犯だとわかっちゃうんです。

犯人が最初にわかってしまう古畑任三郎形式な映画なのかと思って、その後観続けるも警察との攻防も大してなし、結果的に母親に放火する姿を見られてしまい、ダグが落ちることになる。

てかね、ダグの放火の手口もいずれバレるのも時間の問題のようなずさんな手口。ここまで何回も放火が成功したのは、小さな村で人が少なく目撃されにくかったこと。犯行現場まで車で行って、車で帰ってくるんだから、いつバレるのか観てるこっちもヒヤヒヤするっつの!

計画的な犯行というよりも、衝動的な犯行でサスペンスは皆無。しいて言えば、犯行が誰かに目撃されてしまうのではないか?ダグの発行がいつバレてしまうのか?というハラハラ感は感じられる。

途中、人のいる家に石油をぶっかけて放火しようとして失敗してるし・・・。雑過ぎだろ。

ってことで、この映画はサスペンスと言うよりは、人間ドラマだと思う。主人公のダグが放火の魅力に取りつかれていき、その息子ダグが放火をしているのではないかと疑念を抱く母親。体力の限界を感じ始めているからのか、息子の心に踏み込もうとしない消防団長の父親。

それぞれの心理については、そこまで丁寧に描かれていない。ダグも母親も父親も、みんな大した葛藤もなく淡々と行動する。どうぞここから自由に読み取ってねーっと言った感じ。

中盤で、ダグがパーティーで女の子と手をつなぐことによって、放火よりももっと楽しいことを見つけるのかと思いきや、海パン1丁で屈辱的な置いてきぼりを喰らってしまう。その後のダグの「放火しなけりゃ気が収まらない!」という焦燥感がたまんない。

水面でイエス様のモノマネをするダグを、あの2人の女の子が見捨てなければ、放火は止まっていたのかもしれないのに・・・。

 

当初は消防団長の父親の名誉のために、わざと放火して活躍しているのかとも思ったけど、このシーンで放火の快楽に身を任せているのだということがハッキリとわかった。小さな村で娯楽も少なく、頭の良いために周りの同世代田舎っぺ達とも打ち解けることが出来ず、孤独の末に放火に走ったのだろう。

 

あと、この映画でなによりもツライのが、まったくラストまで盛り上がらないところ。

放火するのも雑木林だったり空き家だったりで、誰一人死なない。いや、別に死人が出れば良いというわけではないけど、とにかく盛り上がらないのだこの映画。最後の最後まで。

ダグが放火している姿を目撃してしまった母親は、次のシーンではトボトボと家に引っ込んでしまい、なにも息子に言わない。息子の放火の事実を知った父親も「お前を理解しようとしたが、どうしても出来ない。自首しろ」と諭すにも関わらず、ダグの「それのなにが問題なの?」という問いに言葉を失い、すごすごと引いてしまう。

 

親ならビシッと

言うべきことを言ってくれ

 

結局、警察に連れていかれて、取り調べを受けるシーンも。結局この一連の放火事件の犯人は捕まったわけだけども、事件として解決したのかどうかもなんというかうやむやな感じにエンドロールが流れる。

 

これが北欧サスペンスの

お作法ということなのだろうか?

 

いずれにしても僕はこの映画を観て、かならずしも北欧サスペンスが面白いというわけではないということを学んだ。アメリカやイギリスでリメイク版が作られるほどの『THE BRIDGE/ブリッジ』と比較してしまうのはどうかと思うけども、それにしても登場人物の葛藤も感情の表現も薄く、サスペンスとは言えない『パイロマニアック 炎の中の獣』はハッキリ言って微妙な映画だった。

つまらないとは思わなかったけど、気持ちよく眠る為の睡眠導入剤として使うのに適したB級映画だ。

 

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