【劇場にて鑑賞】 『シン・ゴジラ』 平成ゴジラシリーズ、エヴァファンから見た感想

7 min
スポンサーリンク

個人的に今年1番の期待作、必ずや映画館で観ようと決めていた庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』。

小学6年生の時に弟と『ゴジラ VS メカゴジラ』を映画館に観に行ったのをきっかけに平成ゴジラシリーズの大ファンとなった僕としては、『ゴジラ VS デストロイア』後のゴリラシリーズが年を追うごとにどんどん子供向け化されていき、残念な気持ちでなりませんでした。

今回の『シン・ゴジラ』は、特報を観た時から平成ゴジラシリーズのような人間ドラマのあるちょっと大人向けなゴジラなのではないかと、それはもう相当期待してしまいました。

結論から言って今回のゴジラ、完全に大人向けのゴジラです。

 

オススメ度:★★★★★★★★★★ ★10点

*★10点が満点。点数は管理人の個人的点数です。異論反論は認めます。
*記事内の見出しに”(以下、ネタバレ)”と書かれているところからネタバレしています。

 

映画観るなら<U-NEXT>
Huluで今すぐ視聴!2週間無料トライアル実施中!

シリーズで最もリアル志向のゴジラ

今回の『シン・ゴジラ』は今までのゴジラシリーズの中で最もリアリティーを追及したゴジラとなっています。平成シリーズでは、未来人が登場する『ゴジラ VS キングギドラ』やコスモスの登場する『ゴジラ VS モスラ』、宇宙からゴジラ細胞を持つ最強のゴジラがやってくる『ゴジラ VS スペースゴジラ』のようにSF要素が非常に強く出ていました。

しかし、今回のゴジラはそんなSF要素は一切無し。

実際にゴジラという謎の巨大未確認生物が東京に現れたら、日本の政治家たちはどのように対処するのか?

この1点に絞って描かれています。

次々と観客を無視して飛び出す専門用語、まったく聞き取らせる気のない政治家たちのセリフの応酬、他の多くの映画ではやっていない演出でリアリティーを作り上げている印象です。

自衛隊がゴジラに攻撃を仕掛ける時、ミサイルを1発撃つのに首相が許可を出してから戦闘機のパイロットにその許可が伝わるまでにバケツリレーするシーンがありますが、他の映画などとは違って上官が撃てと言ってすぐに撃てるわけではないんですね。

それほど、自衛隊が攻撃を行うということがこの日本にとって非常に重く慎重にならざるを得ない行為だということが読み取れます。

今の日本の抱える政治、組織としての問題、安保法案や、核のことなど、様々な揶揄を含んでいます。今の時代に合ったまったく新しいゴジラ映画です。

 

キャスト陣が豪華過ぎる!!

キャスト陣が多いにも関わらず、芝居の出来ないイケメン俳優やアイドルは一切出てきません。今回の『シン・ゴジラ』の登場人物たちは非常に多いのですが、どの役も実力派の俳優が務めています。もうキャスティングだけでも★10個付けたいくらい。

主要キャストは、内閣官房副長官役の長谷川博己。米国大統領特使の石原さとみ。内閣総理大臣補佐官の竹野内豊。

長谷川博己さんのことは以前、劇場実写版『進撃の巨人』でボロクソに書いてしまったので、ここで謝罪いたします。申し訳ございませんでした。

【新作映画の感想】実写版、進撃の巨人(前編)

【新作映画の感想】実写版、進撃の巨人 エンドオブザワールド(後編)

 

『シン・ゴジラ』での長谷川さんがめちゃくちゃいいんですよ。進撃の巨人やMOZUであんだけハッチャケまくってたのはなんだったんだってくらい、冷静で情熱溢れる人間を演じてるんですよ。僕は断然こっちの長谷川さんの方が好き。

石原さとみは進撃の巨人でぶっ飛んでたけど、『シン・ゴジラ』でもぶっ飛んでます(笑)

『シン・ゴジラ』はほぼ真面目な政治家たちの会話に終始し、ゴジラが出てくると異常なほどの緊張感が走る作りとなっています。あまりにも真面目過ぎて、そこが逆に滑稽に見えて笑えるシーンも多いのですが、石原さとみのようなぶっ飛んだキャラクターが出てきてくれるおかげで心にゆとりが出来るってもんです。

また、内閣総理大臣役の大杉連は非常に人間味が溢れていて、数々の難題に対して決断を下す時のリアクションは観ていて楽しかったです。

出てくるキャラクターがチョイ役に至るまで、ベテランの役者さんが演じているのでとにかく話に引き込まれます。ホント、これくらいキャスティングのしっかりした邦画がもっと増えてほしい。

 

シン・ゴジラの与える絶望感

今までのゴジラシリーズで昭和シリーズは全て観ていませんが、恐らく最も強いゴジラです。

もうどうしようもなく強い・・・。

物語の中盤の夜のシーン、今回のゴジラの攻撃方法には度肝を抜かれました。東京に与える甚大な被害に絶望感を与えられます。こんな奴どうやって倒すんだよと。

ああ・・・。

ここまでネタバレなしで書いてきて、超書きたいことがあるんですけど、もしもまだ観ていないのであれば、これ以降は読まずに是非とも映画館で観て頂きたいです。

正直、今回の『シン・ゴジラ』は前情報なしで観ると驚かされることがいくつかあって、それを知ってしまうと少しばかり面白さが半減してしまうと思います。

なので、映画館で『シン・ゴジラ』を観るよ!という方はこれ以降は読まないでください(笑)

そして、『シン・ゴジラ』を観に行くときは、出来れば気心の知れた友人、恋人、家族など、誰かと一緒に観に行くことを強くオススメします。

そんじゃ、いつものネタバレ感想を書いちゃいます。

 

感想、以降ネタバレ

もうね。ズルいよ、庵野監督。

青春時代に平成ゴジラシリーズ観て、新世紀エヴァンゲリオンを観て育ってきた人間に対してこの反則技。

 

ズルいよ!!

 

まさか、平成ゴジラシリーズの楽曲とエヴァの楽曲、両方使ってくるなんて!!

あんなん聞いたらテンション上がりまくってまうわ!

 

特に僕がテンションが上がったのは、『ゴジラ VS メカゴジラ』で使われていた楽曲。『ゴジラ VS メカゴジラ』のタイトルコールで流れるあの音楽は僕の中でもゴジラを代表する思い入れのある曲。めちゃくちゃかっこいんですよ。あまりの懐かしさに劇場でふんぞり返ってしまいました。

そして、緊急対策本部で皆がゴジラの対策を考えるシーンでここぞとばかりに流れるエヴァのあの曲。ってか何回使ってるんだよ。流し過ぎだろ(笑)

もうホントあれのせいで一気に感情移入してしまう。

過去作の財産をこれ見よがしに使うのは反則だと思いつつも、やっぱり嬉しくて心許してしまう僕よ、シャキッとせんかい!

 

とは、言いつつも今回の『シン・ゴジラ』は今までのゴジラシリーズを観てきた身としても(昭和シリーズは全部観てない)、まったく新しいニュータイプのゴジラで、多くのシーンに驚かされた。

まず、平成ゴジラシリーズではゴジラの対処をする国の機関としてGフォースが出てきたが、あれは架空の組織。今回は日本に実在する役職、政治組織の視点から描かれているのが新しいところ。

もうすでに上述しているが、これほどまでにリアリティーを追及したゴジラは今まで観たことがない!

「実際にゴジラが現代の日本に現れたら?」を徹底してシミュレーションしているように感じられた。

ぶっ飛びキャラの石原さとみが登場する前までは真面目なシーンが淡々と続くため、ドキュメント映画を観ているような感覚にも襲われる。

それでいて、政治家たちが会話を繰り広げる会議のシーンのテンポが恐ろしく良い。休む間もなく専門用語を織り交ぜながらポンポンセリフが飛ぶため、全てのセリフを聞き取り理解するのは不可能。また、登場人物が現れるたびにその人物の肩書と名前がテロップで表示されるが、1秒も表示されない。完全に読ませる気がない(笑)

『シン・ゴジラ』は1回観ただけでは全ての理解は不可能だ。

セリフやテロップもそうだし、ゴジラの存在もそう。もっと深く知るには、最低でもあと2回は観ないといけないと思っている。

そして、ここ10年間は映画館で映画を観ても、ただの1冊も買わなかったパンフレットまで買ってしまった。

シン・ゴジラのパンフレット

 

鑑賞した映画館では売り切れてて、別の映画館にパンフレットを買うためだけに足を運んだ。

 

商売上手過ぎ

 

また劇中でゴジラが進化して、姿形を変えていくところも今回新しいことの一つ。

今までは敵側のモスラやキングギドラ、デストロイアなどが進化したり姿形を変えたが、まさかゴジラが進化するなんて思わなかったよ!

冒頭にアクアラインから出てきた、あの気持ち悪い爬虫類みたいな奴がゴジラになるなんてビックリだよ!!

途中で背びれの形からもしかして・・・とは思ったけど、エラから真っ赤に染まった体液を垂れ流しながら、使徒のごとく不気味なビジュアルで少しずつ移動する姿に、「え?もしかしてゴジラはこいつと戦うのか?」って思っちゃったもん。まんまと騙されたよ。

 

そしてこのゴジラがどんどん恐ろしく大きくなっていく。

1度目に爬虫類ゴジラとして日本に上陸したゴジラは途中で動きを止め、大きく姿を変え進化する。4足歩行から2足歩行へと変わる。だが、その時にエネルギーを使い過ぎたためか、海へと逃げてしまう。

そして2度目に姿を現した時には、体調が2倍となりさらなる巨体となって日本に上陸、東京を襲うこととなる。自衛隊の持ちうる力を全て出し尽くしての攻撃にビクともせず、物理攻撃がまったく効かないゴジラ。そんな自衛隊の敗戦に「いったいどうやってゴジラ倒すんだよ・・・」と固唾を見守る中、グイグイとゴジラは東京へと歩みを進める。

そしてこの後の夜の東京を襲う時の映像がもう圧巻なんですよ。

このシーンだけでお腹いっぱいになってしまうインパクトの強さ。ゴジラの放射線によって東京一面が火の海になるあのシーン。最新のCGを駆使してのハイクオリティーの映像に度肝を抜かれ、絶望のどん底に叩き落される。

シン・ゴジラが初めて移動以外の手段で人間側に攻撃をしかけるこの夜のシーンで、ゴジラの戦闘能力が明らかになるのだけど、そのゴジラの攻撃方法にも驚かされた。

お馴染みの口からの放射線以外に、なんと尻尾からも放射線を発射する。そして、もっとも凶悪なのが背びれからの無数のビーム線。身の回りに近づてくる戦闘機、ミサイルがあればこの背びれビームで全て撃墜しよる。

 

いくらなんでも無敵すぎやろ

 

ゴジラに対しての攻撃はまったく歯が立たず、そしてゴジラからの攻撃に対しては為すすべなくただ被害を受けるだけのニッポン。

この国ももう終わりかと、日本の滅亡が脳裏をよぎった時に、これまでの攻撃でエネルギーを使い果たしたゴジラの動きが止まる。

 

なんとゴジラ、エネルギー切れ

 

なんか今回のゴジラは生き物というよりも、人為的な天災、生物兵器のようなイメージが強い。そういえば劇中で「怪獣」という単語が出てこなかったと思う。今回のゴジラを見てしまうと「怪獣」なんて可愛らしく聞こえる。

 

そしてここからが我ら日本の反撃ターン。

ゴジラのあまりの脅威に当たり前のように世界の恨まれ役ことアメリカが介入してきて、ゴジラを完全消滅のために東京の中心に核爆弾を落とすとか言い出す始末。もしもニューヨークで同じことが起きたとしても同じことをするとか言っていたシーンがあったが、嘘をつけ!!と思っちゃいました。

ゴジラ凍結作戦という試す価値の大いにある作戦を手札に持ちながら、アメリカの核兵器作戦に逆らえずタイムリミットを突きつけられる日本。

長谷川さん率いる緊急対策本部を始め、政治家たち、自衛隊がゴジラを倒すため、一念発起して立ち上がります。

 

最後のゴジラ凍結作戦でどうしても言及したくなってしまうのが、新幹線と在来線を使ってゴジラを転ばせるところ。さんざん今までゴジラに破壊されて尽くしてきた日本の鉄道を使っての攻撃方法に笑ってしまった。

とくに10本近くの在来線がゴジラに衝突して宙を舞うシーンはテンションあがりまくりんぐ!!

 

こんな絵見たことないwww

 

ゴジラをコケさせた後はクレーン車を使ってゴジラの口に血液凝固剤を投入していくのだが、これがまた日本人らしい緻密で、職人技とも言える地味な作戦。

しかしこの地味さにも関わらず、作戦を遂行する人間たちの情熱が十分に見て取れる。非常にアツいシーン。

ハリウッド映画のような派手さはなし、今までのゴジラシリーズのクライマックスのような爆発シーンや放射線のシーンがなし。しかし、逆にそれが新鮮にも見える今回の『シン・ゴジラ』

僕は最後の最後まで十分に『シン・ゴジラ』を楽しめました。

 

鑑賞後に残る疑問点

ゴジラ凍結作戦が完了後、凍らされたゴジラが東京にたたずんでいるが、この後ゴジラはどうなるのだろうか?

自衛隊の物理攻撃は一切効かず、劇中ではアメリカの核爆弾でしかゴジラを破壊する方法が提示されていないため、このまま凍らせた状態でゴジラを東京に残しておくということなのかなあ。

日本はゴジラと共存するのだと、原子力発電所との共存を揶揄しているようにも取れた。

 

また、ゴジラがなぜ日本に上陸し、東京へと向かったのか?

冒頭で自殺したマキゴロウという人物がゴジラを生み出したということだが、マキゴロウは核を憎んでいた。

遺書で「私は好きなようにやった。君たちも好きにしろ」と書かれていたことから察するに、ゴジラのデータを不完全な形で残し日本人を試しているようにも見えたが、ラストシーンで映ったゴジラの尻尾のアップの絵が忘れられない。

明らかに人間の形をしたものが移り込んでいる。

もしかしたらマキゴロウは自殺した際にゴジラと融合したのではないだろうか?もしくはマキゴロウはゴジラ自身なのではないだろうか?

 

観終わった後にこんなことを色々と自分なりに考えて楽しめるのも今回の『シン・ゴジラ』の良いところ。『ゴジラ VS デストロイア』でメルトダウン後、跡形もなくなったはずのゴジラが登場するラストシーンで、ゴジラは生きていたのか?あれはなんだったのか?といった論争を弟と繰り広げたが、今回はそんなレベルではない。

 

論争できるものがが多すぎる

 

ああ、こんなことなら誰かと一緒に観に行けばよかった。

1人で観に行くべきではなかった。

観終わった後に消化不良な部分もあり、語れる相手も近くにいないため、いつも通りこのブログで思ったことを書きなぐってみた。

 

映画観るなら<U-NEXT>
Huluで今すぐ視聴!2週間無料トライアル実施中!

スポンサーリンク
カテゴリー:
関連記事