弟の結婚式でサプライズ大失敗!僕はまたやらかしてしまいました③『式場にて本番編』

7 min
スポンサーリンク

これまで2回に渡り書いてきた、弟の結婚式でのサプライズ失敗エピソード。今回で最後となる。

紆余曲折あったものの、半年かけて弟へのサプライズを準備してきて、いざ結婚式の行われる岐阜へと乗り込んだ。

あれだけ練習したんだ、絶対に成功させてやる。そう心に誓って。

前々回:弟の結婚式でサプライズ大失敗!僕はまたやらかしてしまいました①『余興依頼快諾編』
前回:弟の結婚式でサプライズ大失敗!僕はまたやらかしてしまいました②『計画内容変更編』

 

弟の結婚式前日のリハーサル

結婚式前日の朝、早朝に岐阜に着いた。この日、リハーサルをするためにお袋と新婦と待ちあわせて式場に行く予定になっていた。

※今後何度も新婦と書くことになるだろうから、一応新婦の名前をサチコさん(仮名)とさせていただく。

待ち合わせの時間まで、念には念を入れるつもりでカラオケボックスに入りギターの練習をした。うむ、コードも完璧、集中して引けばミスの可能性も低いだろう。あとはリハーサルでお袋のピアノとサチコさんの歌を合わせてどんな感じになるかを確認して調整するのみ。

前回書いた通り、サプライズの段取りは、余興で呼ばれた僕が弟へのメッセージを言っている間に、ピアノを弾くお袋、ボーカルの従弟2人に歌の準備をしてもらい、メッセージを言い終わってから演奏を開始する。そして最後のサビで高砂から移動してきたサチコさんが歌って驚かせるという作戦だ。

従弟2人には大変申し訳なかったのだが、彼らはぶっつけ本番となる。僕の結婚式の時にも歌ってくれて僕は大いに感動したので、きっと彼らならぶっつけ本番でも問題ないだろう。

 

このリハーサルだが、当然の如く弟にはバレないように行わなければならない。

結婚式前日なんて新郎と新婦は常に一緒にいてもおかしくないのに、サチコさんにはうまいこと弟に1人でちょっと用事があって式場に行くと言ってもらい、リハーサルが実現した。

ただ、色々と事情がありリハーサルの時間をあまり取ることが出来ず、1、2回合わせることしか出来なかった。しかもその時、まだギターの音を増幅させるためのアンプが準備できておらず、お袋のピアノとサチコさんの歌の合わせしかできなかった。ただ、あれだけ練習したので、コードは完璧、アンプの調整さえ当日きちんとすれば問題ないだろう。

相変わらずお袋はピアノの演奏が上手く、サチコさんも相当練習してくれたのか完璧にサビを歌い上げてくれた。ピアノの演奏がかなり壮大な感じで、これはきっと弟は歌を聞いて感動するだろうなと思った。

 

そしてサチコさんに弟にバレないよう、お袋と弟の家まで車で送ってもらって弟の家で一泊した。

その日の夜、弟から「兄貴、明日の余興なにやるの?」と言われたが、サプライズで驚いてもらいたかったので、

 

「ギターでコントやる」

 

と言っておいた。

これでさぞかしハードルが下がっただろう。

 

サプライズ決行!

翌日、弟の結婚式当日。

ゲストハウス形式のウェディング専用の式場で、教会と披露宴会場が別々の建物になっていて、ものすごくオシャレな式場だった。

 

チャペルで人前式を行い、屋外で記念撮影を終えた後、披露宴となる。

自分の時はホテルウエディングでチャペルは神父さんにやってもらったのだが、事前にリハーサルがあったにもかかわらず神父さんがセリフをとちりまくっていた。

他人に誓いを読み上げてもらうよりも、自分たちで誓いを立て、婚姻届けに名前を書く弟とサチコさんのチャペルの方が、自分たちの意思で結婚するんだという気持ちが強く表れていて、僕もこっちの方にすれば良かったなあと思った。

 

さてさて、ついに始まった披露宴。僕たちの出番は披露宴の最後、新郎謝辞の前にやることになっていた。それまでの間、僕は隙をついてアンプやら楽器の準備をしに行き、その後存分に披露宴を楽しんだ。

後で演奏しなければならないので、お酒もあまり飲まないようにした。

一眼レフカメラで弟とサチコさんの晴れ姿を撮りまくっていたら、お色直しとなり生い立ちビデオの再生になった。

そう、以前弟に頼まれて iMovieで作った生い立ちビデオだ。

個人的には一生懸命作った生い立ちビデオだが、別に映像制作を本業にしているわけでもないし、一般の人から見ても素人の作った生い立ちムービーだ。ちょっと恥ずかしい気分で自分の作った生い立ちビデオを眺めていると、映像が終わってからいきなり司会者の人から「この生い立ちビデオは新郎のお兄さんが制作されたものです」と紹介されてしまった。

 

司会者のお姉さん、

それ言わなくていいです

 

後々サプライズで出しゃばることになるので、新郎の家族として出来るだけ存在を消しておきたかった。そう、もう空気になっていたかった。どうか、エンドロールの時は紹介しないで頂きたい。

 

そして、滞りなく披露宴は進んでいき、余興が始まった。

まずは新婦側の友人が余興を行った。新婦側の友人たちはキャンディーズの『年下の男の子』の替え歌をダンス付きで歌っていた。替え歌の歌詞が、新婦であるサチコさんのいままでのエピソードとなっており、またサチコさんのお人柄が良くわかる内容で、すごく良かった。

披露宴会場の場が和み、最高の形でバトンを渡してもらうことが出来た。今でも彼女たちに感謝している。

彼女たちからのバトンを受け取り、ついに僕たちの出番がやってきて司会者のお姉さんから呼ばれた。

 

「次は、新郎のお兄さんと従弟の方々による余興です」

 

僕の結婚式の時は、今回サプライズの仕掛け人で参加してくれている従弟2人を含み、5人の従妹たちに余興でメッセージもらって歌を歌ってもらった。

今回の弟の結婚式でも従弟5人with僕と妹というかたちで、弟とのこれまでの小さいころからのエピソードを順番に話した。

弟とは小さいころから、ホント数えきれないくらいの大喧嘩を繰り返してきたけど、今では本当に仲が良い。今後サチコさんと共に死ぬまで幸せに生きて欲しいという気持ちで、弟の話をしたのを今でも覚えている。

普段では絶対に恥ずかしくて言えないけど、たしか「最高の弟です」と言った気がする。

 

さて、そんなこんなで僕が弟の話をしている間にお袋がメタルギアソリッドのごとく、弟に気づかれないようにピアノの場所まで移動していた。メッセージが終わると共に、従弟2人がマイクの前へ、僕がギターをスタッフから受け取り位置についた。

 

さあ、ここからゆずの『栄光の架橋』の演奏だ。

 

弟よ

耳かっぽじって聞きな

これが兄貴からの贈り物だ

 

 

サチコさんのような

素敵な女性と結婚して

兄貴は嬉しいぞ

 

 

末永く幸せにな!

 

 

さあ、この晴れ舞台で

泣き叫ばせてやる!!

 

 

披露宴会場が静寂に包まれる。

お袋のピアノで『栄光の架橋』のイントロが静かに始まる。

マイクを握る従弟2人は少し緊張しているようだ。

静寂の中、奏でられるピアノの演奏はイントロからすでにこの曲の壮大さが伝わってくる。

イントロ後の歌の始まりと同時に僕もギターで入る。僕は1発目のコードのために左指をフレットに置いた。

 

そして次の瞬間、従弟たちの歌い出しと共に弦を弾いた!

 

 

ギュイィィィィィンン!!!

 

 

けたたましく鳴り響く僕の安っぽいエレキギターの音。これまでお袋のピアノが作り上げてきた壮大な雰囲気を僕のエレキギターが歌い出しと共に思いっきりぶち壊した。

僕が演奏していた場所は、新郎側の招待者たちが座るテーブルで固まっていたのだが、歌っている従弟の母親である僕の叔母が爆笑していた。そして祖母は厳しい目で僕を睨みつけている。

 

 

やばい

エレキとピアノじゃ

音色がミスマッチすぎる

なにこの不協和音・・・

 

 

アンプの調整してアコギっぽくすれば・・・とも思ったが、さすがに始まってしまった『栄光の架橋』を止めることは出来ない。ここで止めたらこれまで半年もかけて準備してきたサプライズは台無しだ。やり直ししてサプライズやったところでクソ寒いことになる。

弱気になった僕が歌っている従弟に視線を送ると、彼らは歌いながら僕から後ずさっている。音程を乱されたくないという彼らの強い意思表示を感じた。

 

僕に残された選択肢は少ない。どうする?

 

①このまま強引に弾き続ける

②ギターを弾くことをやめる

③従弟と一緒に歌う

 

①はどう考えてもダメだ。このまま弾き続けたら1曲まるまるぶち壊すことになる。幸いまだ新婦側のテーブルは、この異変に気付いていないように見える。これ以上被害を増やすわけにはいかない。よって、却下。

②も厳しい。ここで演奏を止めて棒立ちになったら、ただギターを持ってるだけの人になってしまう。なんたるマヌケな姿なんだ。想像しただけでも吐き気がしてくる。このままゆっくりと自分のテーブルへフェードアウトしようかとも考えたが、スポットライトを浴びてしまっている。招待者の方々が気づかないわけがない。ダメ、却下。

③という荒業を使うのはどうだろう。後ずさっていった従弟2人の中にいきなり飛び込んで歌ったら・・・。きっと彼らはビックリしてしまうだろう。彼らにとってとびっきりのサプライズとなる!

って、

弟へのサプライズだろうが!

しかも僕は音痴だ。もし歌ったらなにもかもが台無しになる。

 

 

 

弟を泣かすつもりが

僕が泣きそうです・・・

 

 

 

もうどうしようもないので、苦し紛れに取った行動が

 

 

エアギターwwwww

 

 

金剛地さんとは全く別の方向性のエアギター。出来るだけ体を動かさず、目立たないように目立たないように。そしてさも弾いているようにした。

練習通りにコードを押さえて、ピックはわざと空振りさせて一切音を出さないよう。これでピアノの演奏と従弟の歌声を邪魔せずにすむ。そして、僕がこの場に残る理由も出来る。

 

 

まさに苦肉の策

 

 

こうして、なんとか『栄光の架橋』も従弟2人が2番までを完璧に歌い上げてくれて、いよいよサチコさん登場の間奏へと差し掛かる。

もう心がへし折れてしまった僕には弟のリアクションを見る余裕はなかった。

サチコさんがゆっくりと従弟2人の前まで歩いてきて、サビから歌い始めた。今までたくさん練習してくれたのだろう。サチコさんの歌声は本当に綺麗で、僕が感動してしまったほど。

お袋のピアノも途中少しミスをしたと本人は言っていたけど、そのミスに気づけないほど素晴らしかった。そして従弟たちの歌もサチコさんへとしっかりバトンを渡してくれてホントにホントに完璧だった。

 

 

そう、

僕以外の全員が完璧だった

 

 

演奏が終わると沸き起こる会場からの拍手。穴があったら入りたいとは、まさにこのことを言うのだとこの時痛感した。結婚式が終わるまでずっと穴に入っていたい。

演奏後、サチコさんがマイクを取り、

「○○○(弟)さん、驚きましたか? このサプライズの企画はお兄さんが考えてくれたんです」みたいなことを言ってくれて、心の底から嬉しかったのだけど、エアギターとなってしまったことになんとも言えない申し訳ない気持ちと恥ずかしい気持ちで胸がいっぱいになりました。

 

サプライズ後の回りの人たちの反応

結婚式が終わった後、サチコさんのお母さんとお話する機会があって、その時えらく感謝された。ハッキリ言って、こちらの方が協力してくれたサチコさんに感謝しなければいけないのに、このお母さんにしてサチコさんありなんだなと思った。

ホント弟は幸せ者だな。

後日、お袋から聞いた話だと、新婦側の方々にはこのサプライズが好評だったようだ。

新郎側の兄、母、従弟の中に新婦が入っていって歌うという演出が、新郎の家族の輪の中に新婦が入っていくように見えたようで、それが良かったらしい。

 

しかしながら、僕が驚かせて泣かせたいと思っていた当の本人である弟は、サチコさんがサビを歌いに高砂を出て行った時、サプライズだとわからず、「あれ?もう次の段取り?」と思ったそうだ。

そして、サプライズに気づいたようではあったが、結婚式が終わった後も「今までサチコさんと兄貴が裏でサプライズの為にコソコソしてたことに、なぜ気づけなかったんだ」と悔しがっていた。

まあ、確かに不自然なところはいくつもあったよ。余興の順番を一番最後にしてくれと頼んだり、式の前日に大阪に住むお袋と千葉に住む僕が二人で待ち合わせて弟の自宅に来たり(サチコさんに車で送ってもらった)、小さなほころびはいっぱいあったと思う。

 

でもね、一言言わせてくれ。

 

サプライズしたんだから

素直に泣いてくれ!!

せめて、驚けよ!!

 

でもまあ、新婦側のご家族の方たちに喜んでもらえたので、結果的には成功だったのではないだろうか。うん、成功だったと思いたい。僕の演奏があまりにも悲惨だったので、強引にでも成功だったと信じたい。

無論、新郎側の方々からはイントロ直後の「ギュイィィィィィンン!!!」を今でもいじられることがある。

僕は過去に自分の結婚式の時、逆サプライズでカミさんに歌ってもらってユーミンの「やさしさに包まれたなら」を演奏したのだけど、途中でコードが飛んでしまってアカペラで歌わせるという大失態をやらかしている。今回はそのリベンジをしようという下心もあり、約半年にも及ぶ練習をしたにもかかわらず、またもや失敗に終わってしまった。

今回、1つ学んだことがある。

 

 

ピアノとエレキギターは

噛み合わない

アコギにしとくべきだった

 

 

そして、

 

 

もう二度と結婚式で

ギターは弾かない

 

 

そう心に誓うこととなった。

(おわり)

 

スポンサーリンク
カテゴリー:
関連記事