前作のQから9年経ってようやく公開された4部作完結の『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』。公開日2日目の平日の夕方、出来るだけ人の少ない劇場で鑑賞してきた。
テレビシリーズ版のエヴァを初めて観た時、ちょうど主人公のシンジと同じ14歳。あれから今作の完結を観るまでに実に20年以上も時が経っているのかと思うと複雑な気分になる(笑
しかしながら今作のエヴァは新劇場版の序から観てきた人、テレビシリーズからのファン、どちらの人にも是非観て欲しいと思える完結編だった。それだけの価値があると断言できる。本当に面白かった。
エヴァの複雑怪奇な伏線、裏設定、専門用語連発、内気な主人公と、好き嫌いの別れるアニメだとは個人的に思う。万人にオススメできるアニメだとは思っていない。おそらく子供が観てもエヴァが戦うところくらいしか楽しめないし、年配の方が観たら意味不明だろう。
しかしテレビシリーズからエヴァを楽しんできた人には間違いなく刺さる完結編だ。Qの公開から9年も待たされたんだ。とんでもなくハイクオリティーのアニメを劇場で観れたことを心から幸せに思った。
ただ、唯一悔やまれること・・・
上映中にトイレに
立ってしまったことだ
今作の上映時間は155分、2時間35分もあった。
オススメ度:★★★★★★★★★★ ★10点
*★10点が満点。点数は管理人の個人的点数です。異論反論は認めます。
*記事内の見出しに”(以下、ネタバレ)”と書かれているところからネタバレしています。
【シン・エヴァンゲリオン劇場版 本予告・改2】
序の感想:【映画の感想】『エヴァンゲリオン新劇場版:序』(2007年、日本)
破の感想:【映画の感想】『エヴァンゲリオン新劇場版:破』(2009年、日本)
Qの感想:【映画の感想】『エヴァンゲリオン新劇場版:Q』(2012年、日本)
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どんな話なの?
序でヤシマ作戦、破で使徒ゼルエル戦での初号機覚醒と、大筋ではテレビシリーズでの話に沿って進行してきた新劇場版もQでは大幅に分岐して、完全新作のエヴァンゲリオンへと話が進んでいった。
初号機の覚醒によって、サードインパクトが引き起こされ、またしても多くの犠牲者を出してしまう。
Qでは、サードインパクトの引き金となったのが自分だと知ったシンジがカヲルくんの協力を経て世界を元通りにしようとするが、失敗。唯一の理解者であるカヲルくんを失い、世界を元通りに戻すという希望も失い、絶望のどん底へと突き落とされるバッドエンドで終わった。
ラストでアスカがシンジと綾波を連れて歩いていくのだが、いったいどこに向かってこの話は進んでいくのか?どう着地するのか・・・?
個人的な感想としては、今作はテレビシリーズラスト2話と旧劇場版2話を再構築して、より多くの人に受け入れられるようにエンターテイメント性を追求した内容だったように思う。
【これまでのエヴァンゲリヲン新劇場版】
※ 以降、ネタバレ感想
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感想
いやあ、面白かった。本当に良い終わり方だった。
テレビシリーズ、旧劇場版を観てきた人にとっては最高の完結作だったと思う。(まだすべてを理解できているわけだはないけど・・・)
なによりも1番良かったと思えるのは、碇シンジが自分の意志で父ゲンドウが向き合って対話したことだと思う。
ラスボスがゲンドウってのは
やっぱ最高に盛り上がる
嫌われることで傷つきたくないという思いから、ずっと避けてきた父親。そんな父ゲンドウに向かって、「父さん、話をしようよ」と言い放つシーンには感極まってしまった。やはりエヴァは碇シンジの成長の物話なのだと。そしてシンジは絶望のどん底から立ち上がり、無事大きく成長を話したのだと。
が、しかし。シンジに言われて始まる父ゲンドウの独白の内容が・・・。
・他人を信用できない、他人と関わるのが怖い
・ウォークマンで耳を塞いでいるときが落ち着く
・ユイなしじゃ生きていけない
もうね・・・、破の時にアスカが乗ってる使徒化したエヴァを倒せないシンジに向かっていった「大人になれ」などとどの口が言ってんだよ!と言いたくなってくる。
息子に
追い抜かされてんじゃん!!
ただ、このゲンドウの独白のおかげで話がすごくわかりやすくなっていたと思う。ちょっと喋りすぎな感じはしたけど、あれはあれでよかったのかも。
相変わらず専門用語連発で細かな伏線や設定はやっぱり1度の鑑賞だけでは全部理解できないけど、たぶん今作の話の大筋は多くの人が振り落とされずに最後までついていけてると思う。
話が前後してしまったけど、シンジが立ち直るまでの前半部分の第3村でのエピソードもよかった。トウジが委員長と結婚していたり、鈴村がイケメンになっていたり。
てか、今までトウジに比べて影の薄かった鈴村が今作では完全にトウジを喰ってしまっているではないか。
なんでアスカと
くっついてるの??
個人的に辛かったのは前半で綾波がリタイアしてしまうところ。委員長や第3村の人たちと交流を深めることで、少しずつ心が成長していき、破の綾波とは別人ではあるものの、またシンジと仲を深めていくのかと思いきや、シンジ目の前でLCD液になり消滅。
たしかにシンジと綾波の恋愛がテーマではないことはわかっているけど、あのシーンは切ない気持ちになった。
また前作Qでシンジにあれほど冷たかったミサトさんの本心が、加持との息子を出してきたことで説得力が増したと思う。
エヴァに出てくる登場人物の中で真のヒロインはミサトさんである、そう思っている僕にとってはミサトさんの苦悩はよくわかっているつもりだ。
すべてのケリを自分でつけようとしていたけど、最後もう自分の手の届かないところにゲンドウが行ってしまい、シンジに全てを託すしかないという流れは王道だけど、超絶よかった。そして死の間際のシンジとの会話も、旧劇場版のシンジとは打って変わり、覚悟を決め大人へと成長したシンジになっている。
がんばれシンジ!!
そう心の中で思った。
ラストシーン
最後の駅のシーン。マリによってDSSチョーカーを外されてエヴァの呪縛が解けるシンジ。
これ観た瞬間思ったよ。エヴァの呪縛から解かれたのはシンジだけではなく、今までエヴァを観てきた僕ら自身であり、そしておそらくエヴァに携わってきた人たちであり、庵野監督自身なんだと。
テレビシリーズから始まり、20数年をかけ我々は大人になったのだと。
これまでエヴァを楽しませてもらった身として、製作陣の方々にお礼を言いたい。
最高のエヴァンゲリオンを
ありがとうございました